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私は知りたい
免疫複合体
著者: 鬼澤信1 市村登寿1
所属機関: 1獨協医科大学小児科第一教室
ページ範囲:P.241 - P.245
文献購入ページに移動1.はじめに
生体における抗体の本来の役割は,外来性または非自己の抗原と特異的に結合し,それを中和し除去することである。この場合,抗原とそれに対する抗体との結合物,すなわち免疫複合体(im—mune complex, ICと略す)の形成は生体にとって有利に働く。しかし今世紀初頭Von Pirquet1)によって抗原と抗休の相互作用により血清病が発症するという仮説が立てられ,1950年代以降血清病の動物実験モデルによりICは生体内で組織障害を生じ,生体にとって不利な役割を担いうることが判明した。さらに近年ICは免疫系を調節する機能を有する可能性も検討されている.
臨床面からも生体に不利に働くICの側而が注目され,ICが血中および組織中に存在し,病因,病態に直接関与すると考えられる疾患が知られるようになってきた。臨床レベルでのICに関する業績は数多く積み上げられてきているが,実際のところ各IC検出法間でデータがバラツキを示し,その解釈がしばしば困難なこともあるために,その臨床的有用性に対する反省の声が出ている2,3)ことも事実である。ここで血中ICの検出法の原理とその限界に関する解説を中心にしてICについてまとめてみたい。
生体における抗体の本来の役割は,外来性または非自己の抗原と特異的に結合し,それを中和し除去することである。この場合,抗原とそれに対する抗体との結合物,すなわち免疫複合体(im—mune complex, ICと略す)の形成は生体にとって有利に働く。しかし今世紀初頭Von Pirquet1)によって抗原と抗休の相互作用により血清病が発症するという仮説が立てられ,1950年代以降血清病の動物実験モデルによりICは生体内で組織障害を生じ,生体にとって不利な役割を担いうることが判明した。さらに近年ICは免疫系を調節する機能を有する可能性も検討されている.
臨床面からも生体に不利に働くICの側而が注目され,ICが血中および組織中に存在し,病因,病態に直接関与すると考えられる疾患が知られるようになってきた。臨床レベルでのICに関する業績は数多く積み上げられてきているが,実際のところ各IC検出法間でデータがバラツキを示し,その解釈がしばしば困難なこともあるために,その臨床的有用性に対する反省の声が出ている2,3)ことも事実である。ここで血中ICの検出法の原理とその限界に関する解説を中心にしてICについてまとめてみたい。
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