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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科60巻3号

1988年03月発行

海外トピックス

国際シンポジウム「滲出性中耳炎」

著者: 茂木五郎1

所属機関: 1大分医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.265 - P.267

文献概要

シンポジウムの沿革
 本国際シンポジウムは米国オハイオ州立大学耳鼻咽喉科学教室耳科学研究室主任David J.Lim教授を中心に組織されスタートした。Lim教授については今日の耳鼻咽喉科医はわが国はもとより世界各国で誰一人知らない人はないほど高名で優れた耳科学研究者である。この国際シンポジウムを誕延生させ育ててきたことにより,それまで基礎的研究の対象としてはあまり関心が寄せられていなかった中耳を一躍research topicにもってぎた。このことは彼自身の数々の研究業績に匹敵するほどの耳科学研究に対する貢献といえる。
 滲出性中耳炎はかなり古くから知られた疾患であるが,その原因や病態が確定されていないにもかかわらず本症に対する基礎的研究は必ずしも活発であったとはいえなかった.もちろんわが国では東北大学河本(前)教授,関西医科大学熊沢教授はいち早く本症に関心をいだき,精力的に研究をすすめられていたことは申すまでもないが,今日ほど広く行われるようになったのはここ10年ぼかりの聞である.米国では1960年代ワシントン大学Senturia教授(当時Ann Otol Rhinol Laryngo1のeditor)が本症の成因と病態について地道な研究を続けていた。ちなみに当時Senturia教授は滲出性中耳炎発症の引金は感染であると提唱した。だが多くの支持が得られず,依然当時の見解は耳管狭窄に基づく無菌性中耳炎とするのが主流であった.しかし免疫学,細菌学,生化学等当時とくらべ著しく進歩した技法を用いた昨今の研究成果の多くは,Scnturia教授の主張を裏づけるところとなっている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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