22 channel cochlear implant患者の語音聴取能とその生理学的考察
著者:
船坂宗太郎
,
高橋整
,
湯川久美子
,
城間将江
,
熊川孝三
ページ範囲:P.283 - P.289
I.はじめに
Cochlear Implant(以下CIと略す)はわが国では立ち遅れた感があるが,欧米諸国では広く行われ国際学会も2年ごとに開かれている。CIは高度の蝸牛難聴ないしは聾の患者に対し,蝸牛の電気刺激により会話や環境音の聴取を可能とするもので,現在実用化されている方式は,①蝸牛の刺激部位によりextracochlcarとintracochlear,②電極数によりsingle channelとmultichannel,③電気刺激波形によりanalog型(音声波形を濾波・変調などの処理をしたうえで送り込む)とdigital型(音声波形の特徴を抽出し,これを電気パルスで送り込む)とに分類することができる。
筆者らは1985年末より現在まで,ニュークレアス社製の22channel cochlear implantを8名の聾患者に施行し,会話聴取能力の再獲得に有用であるとの結論を得ている。今回はリハビリテーションを一応終了した5人の患者について報告し,あわせて言語聴取に関する生理学的考察を述べることにする。