文献詳細
原著
Mondini型内耳奇形と反復性髄膜炎
著者: 星野知之1 込田茂夫2 込田京子2
所属機関: 1浜松医科大学耳鼻咽喉科学教室 2込田耳鼻咽喉科医院
ページ範囲:P.363 - P.367
文献概要
特発性の耳性髄液漏や反復する髄膜炎を起こす症例でMondini型の内耳奇形が存在したという報告はまれでなく,ことに高分解能のCTが広く使用されるようになってから,近年ますます報告が増している。中耳からの髄液漏は頭蓋腔から中耳腔天蓋や耳管付近に入り込んだ脳膜脳瘤(menin—goencephalocele)から出たり,まれにHyrtl裂などの異常な裂孔からも起こることが報告されているが,Mondini奇形に合併するものが最も多い1)。わが国での内耳奇形に合併した反復性髄膜炎の症例数は,1987年の集計で14例あると報告2)されている。
こうした症例で鼓室開放術を行うと,アブミ骨底板またはその付近から外リンパが流出するのがみられるか粘膜の袋状の膨隆3,4)があり,これを破ると勢いよく外リンパが涌出するいわゆるperi—lymph gusherがみられる。膨隆した粘膜は骨の瘻孔より内耳液が押し出した中耳腔粘膜である。著者らの知る限りでは,こうした粘膜の膨隆は写真で明瞭に示されたことがない。著者らは最近Mondini奇形に合併して反復性髄膜炎を起こした症例でこの写真撮影を行い,また摘出したアブミ骨を走査型電子顕微鏡(SEM)で検討したので報告する。
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