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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科60巻6号

1988年06月発行

私は知りたい

モノクローナル抗体の臨床応用

著者: 杉山正夫1

所属機関: 1大阪市立城北市民病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.497 - P.503

文献概要

 1975年Köhlerら1)は細胞融合法を抗体産生細胞に応用し,モノクローナル抗体(MoAb)を産生するBハイブリドーマの作製法を確立し,その功績で1984年ノーベル医学生理学賞が与えられた。簡単に説明すると,抗原で免疫された動物が抗体を産生するようになってから脾臓(リンパ節でもよい)を摘出し,その単離浮遊細胞とミエローマ細胞(一般にHGPRT欠損株を用いる)を融合させHAT培地で培養すると,代謝経路に欠陥を持つミエローマ細胞は死滅する。脾細胞は培養1〜2週後に自然死滅する。ミエローマの不死性と脾細胞の代謝迂廻経路とを併せ持った融合細胞のみが生き残る。その融合細胞の一部は脾細胞由来の抗体産生能を持っており,その一つの細胞を増殖させクローン化する。このような1個の親細胞由来の細胞が産生する抗体はすべて単一の抗原決定基と反応する単一の抗体分子である。この抗体をmonoclonal antibody(MoAb)と呼ぶ。MoAbがポリクローナル抗体に比べ優れている点は,①一つのアイソタイプの抗体である。②化学的に同一の構造の抗体が永続的に得られる。⑥精製されていない抗原を用いてもその特異的な抗体が得られる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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