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文献概要
側頸部の腫瘤を主訴として訪れる症例の鑑別診断は,頸部腫瘤を生ずる疾患に多くのものが予想されるため,鑑別のための検査はそれら多くの疾患を対象として進められる。しかしそれらの諸検査を施行してもなお時には,術前に確診の得られないこともある。そのような場合,確診が得られた後に改めて初診から病理組織診断までの経過を見直すと,それらの症状や検査結果がその疾患に由来したものであったことが解明され,なるほどと納得されるのである。しかし確定診断後に納得,理解されても,残念ながら術前には確定診断に及ばなかったのが事実である。そのような症例に遭遇し,診断確定後に鑑別の過程を振り返り,何故に疾患を特定しえなかったかを検討することは,われわれ臨床医にとって貴重な経験となりうるものと考える。今回呈示する症例はそのような,術前診断で診断が確定されず,術後の病理組織診断で疾患が明らかとなった症例の一つである。
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