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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科61巻10号

1989年10月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床 II.癌性疼痛

頭頸部癌の痛みと患者の心理

著者: 平賀一陽1 福田純子1

所属機関: 1国立がんセンター病院麻酔科

ページ範囲:P.851 - P.856

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I.痛みの出現率と除痛率の推移
 Bonica1)によると,癌性疼痛は慢性疼痛患者の5%と少ないが,他の慢性疼痛より身体的,精神的,社会的要因に起因する因子も多い。1987年,全国の402施設に入院している癌患者(35,683名)を対象に癌性疼痛および鎮痛法の実態をアンケート調査した結果,All Stageでは32.6%,保存的治療患者では48.7%,末期状態の患者では71.3%に何らかの鎮痛対策が行われていた2)。全てのがん患者に痛みが出現するわけでなく,原発部位でも痛みの出現率は異なる。血液癌,肝癌,脳腫瘍患者では痛みの出現が少なく,骨腫瘍・骨転移や頭頸部の癌患者には多い。
 癌性疼痛の除痛率の変化を全国の成人病・がんセンター施設において年次的に比較すると,各病期とも患者が十分に満足する完全除痛率は増加している。特に末期状態では,1986年に37.8%であった完全除痛率が,1987年は42.7%,1988年は48.6%と確実に増加した。鎮痛効果の不十分な非麻薬系鎮痛薬の注射が減少(41.2→32.6%)し,麻薬経口投与が増加(25.7→32.3%)したこと,いわゆるWHO方式癌疼痛治療法の普及が末期状態での除痛率改善につながった3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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