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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科61巻10号

1989年10月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床 III.非癌性疼痛 三叉神経領域の痛みとその臨床

眼痛—緑内障を含む

著者: 阿部春樹1 岩田和雄1

所属機関: 1新潟大学医学部眼科

ページ範囲:P.909 - P.913

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はじめに
 眼痛はごくありふれた訴えであり,眼科の日常診療において最も多く聞かれる主訴の1つである。しかしながらその原因を正確に診断し,かつ治療することは必ずしも容易ではない。その理由は眼痛をおこす原因が眼病変のみでなく,特に三叉神経の支配領域の眼窩や頭蓋内病変に起因するものがあるからで,原因論的には,脳外科,神経内科,精神科,整形外科,婦人科,耳鼻咽喉科および眼科など多くの診療科にまたがっており,これらの領域の疾患を鑑別しながら診断並びに適切な治療を行わなければならないからである。しかし眼痛の原因の大部分は眼疾患に起因しており,その特徴としては充血,流涙,眼脂,蓋明,眼疲労感などの他に,視力障害,視野障害,複視などの視機能障害を伴うことが多いので問診を詳細に行って,眼痛以外の何らかの眼症状を伴っていたら,眼科専門医の診察をうけるように指導すべきである。
 眼痛を伴う疾患を列挙すると表1のごとく多岐にわたっているが,重要なことは緊急な処置を要する疾患か否かを第一に判断することである(表2)。緊急処置を要する重篤な眼疾患としては,眼内異物(図1),角膜や結膜の化学火傷(図2),眼内炎,全眼球炎(図3),穿孔性眼外傷(図4),急性緑内障(図5),角膜潰瘍,角膜膿瘍(図6),眼窩蜂窩織炎(図7)などがあり,これらの眼疾患はいずれも適切な処置がなされないと,重篤な視機能障害を残すので注意が必要である。それにはまず詳細な問診を行って,原因疾患の見当をつけることが大切で,つづいて視診や触診を行いさらに眼科一般検査により所見を確認し,更に必要に応じてX線検査,超音波検査,MRI検査,血液検査等を行い適切な診断のもとで治療計画をたてる必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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