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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科61巻11号

1989年11月発行

文献概要

トピックス 耳鳴

耳鳴と心身医学

著者: 朝隈真一郎

所属機関:

ページ範囲:P.997 - P.1001

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はじめに
 耳鳴の発生する機序や,耳鳴が人を悩まして病気として成立する過程を考える場合,心理的な因子が大きく関与するであろうことは疑う余地はない。耳鳴症の患者を治療するにあたって,その患者の耳鳴に心理的因子がどのように,またどの程度に関与しているのかを適正に評価して,それに応じた心身医学的なアプローチが必要なことは多くの先生方が感じておられることとおもわれる。耳鳴症の治療に,精神安定剤が頻繁に使用されている事実も,そのことを暗示している1)
 耳鳴についての研究は1970年代中ごろから欧米で盛んになった。我が国では1970年代の終頃から耳鳴の研究が盛んになり,耳鳴の検査法について大きな成果が得られた。また,治療法についても,キシロカイン鼓室内投与,キシロカイン静注,抗けいれん剤投与,マスカーなど様々の試みがなされて,一定の成果をおさめている。しかし,耳鳴に対する心身医学的な分析研究はいまなお不十分であり,多様な心身医学的治療を,具体的にどのように日常の臨床に取り入れていくかという問題は殆ど手つかずで残されている。ここでは,耳鳴と心理的因子の関わりについてあらためて知識を整理して,耳鳴症の心身医学的な治療の可能性について考えてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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