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原著
Contact YAG laserによる声門下瘢痕性狭窄症の1治験例
著者: 加藤薫1 松下隆1 伊藤博隆1 馬場駿吉1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.101 - P.105
文献購入ページに移動近年気管内挿管は全身麻酔,救急蘇生,長期の呼吸管理の目的で多用されているが,それによる合併症としてチューブ,あるいはカフの気管粘膜刺激が肉芽を発生させて,気道狭窄を招来することが知られるようになった。Topkinら1)によれば経鼻および経口挿管症例の約4%が気管チューブ抜去困難症となり,その中の0.5〜1%は気管切開などの手術的治療を必要とするという。気道狭窄は小児の声門下に発生しやすく治療に難渋することが多く,数回の手術の必要性が生じたり治療経過が数年に及ぶことが少なくない2)。
一方1960年にMaiman3)がルビーレーザーの発振に成功して以来,医学の各方面において種々のレーザーが応用されてきた。耳鼻咽喉科領域ではStrongら4)が1972年に炭酸ガスレーザーによる喉頭内手術を行い,種々の喉頭内疾患に対して良好な成績を得ている。1973年にNathら5)は弾力性のある石英ファイバーを開発し,これを使用して内視鏡の生検鉗子孔からレーザーを体腔内に導くことを可能とした。これにより体内深部臓器に対する小外科的治療が行われるようになってきた。気管支ファイバースコープ下にNd-YAG(Neodymium-Yitrium-Alminium-Garnetの略)laserを初めて臨床に応用したのは1979年Godardら6)である。内視鏡的Nd-YAG laser治療は侵襲の大きい観血的手術に代わり短時間に効果を挙げうる点が注目され,近年広く使用されるようになった。
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