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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科61巻4号

1989年04月発行

文献概要

原著

中気道(喉頭,気管,主気管支)のアレルギー

著者: 小川浩司1 橋口一弘2 山崎嘉司2 都築達3

所属機関: 1北里研究所病院耳鼻咽喉科 2慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室 3獨協医科大学越ケ谷病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.295 - P.300

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I.はじめに
 即時型アレルギーによる気道の疾患といえば,上気道では鼻アレルギーが,下気道では気管支喘息が代表である。そして喉頭や気管のアレルギーに関しては文献もほとんどなく,日常診療においても見過ごされがちである。しかし感冒(viralinfection)が治った後や,上気道感染とは無関係に乾性あるいは薄い粘液性の喀痰を伴った頑固な咳嗽が続いているのにもかかわらず,聴打診や胸部X線などの一般内科学的検査では肺の異常を認めず,内科医を訪れても喉頭の器質的疾患ではないかと耳鼻咽喉科にまわされる症例にしばしば出合う。このような症例は気道感染症にみられるような発熱や白血球増多,血沈値亢進などはなく,抗菌剤や消炎剤といった気道感染症に対する治療薬には反応せず,鎮咳薬も多くの場合無効である。
 鼻アレルギー患者でも同じような咳嗽を伴う場合があり,喉頭以下の中気道における即時型アレルギーが発症の原因として強く疑われる。このような疾患は気管支喘息とは病態が明らかに異なり,喉頭,気管,太い気管支といった中気道(mid—dle respiratory tract)が即時型アレルギー反応の標的になっていることが考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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