アミロイドーシスを伴った巨舌症例
著者:
斎藤稚里
,
西岡慶子
,
宇野芳史
,
上田節夫
,
増田游
,
田囗孝爾
ページ範囲:P.655 - P.658
I.緒言
アミロイドーシスとは線維性蛋白質であるアミロイド細繊維が細胞外沈着を起こしてくることを本態とする疾患をいい,1854年Virchow1)がAmyloid(アミロイド)という名称を用いて以来,多数の症例が報告されててきた。一方,荒木ら2)によると,剖検例列の約2.5%にアミロイド沈着が検出されるという報告もなられることなどから,臨床症状を呈さないアミロイド沈着もはなはだ多いといわれる。アミロイドーシスにおける巨舌の報告4〜6)によると,アミロイドーシス全患者の約15%に巨舌を伴い3),とくに長期罹患歴を有する症例に多くみられる7)ともいわれているている。耳鼻咽喉科領域では多くは喉頭アミロイドーシスに関する症例報告8〜10)がみられる。以上のような理由から,ほとんどの患者は内科的疾患として治療を受けることになるので,耳鼻咽喉科へ巨舌を主訴として受診する症例は比較的稀である。今回われわれは2例の巨舌を主訴に受診したアミロイドーシスを経験したので,巨舌とアミロイドーシスに関して若干の文献的考察を加えた。