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トピックス 耳音響放射
急性感音難聴と誘発耳音響放射
著者: 坂下哲史1
所属機関: 1大阪市立大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.25 - P.30
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誘発耳音響放射evoked otoacoustic emissions(以下,EOEと略す)は,1978年Kemp1)によってはじめて報告された蝸牛起源の音響現象であり,その発生には外有毛細胞が密接に関与していると考えられている、このため本反応を利用すれば,現在臨床的に有用な検査法のない内耳機能,特に外有毛細胞機能を他覚的に測定できる可能性がある。そこで内耳機能の他覚的検査法としてEOEがどの程度臨床的に有用かということに関してこれまでに多くの研究がなされてきた。
しかし現在のところ口常的な臨床検査としては,乳幼児の聴力スクリーニングへ応用できる可能性が見出されている2)以外,その有用性はいまだ確立されてはいない。その大きな理由としてはEOEの検出閾値や潜時,持続時間,周波数などの分析の際の指標となり得ると思われる各パラメータに比較的たきな個体差があるため評価がむずかしいということの他に,内耳性難聴耳では一般的に軽度難聴耳からしかEOEが記録できず,中等度や高度難聴がある場合は情報が得られないことがあげられる。
誘発耳音響放射evoked otoacoustic emissions(以下,EOEと略す)は,1978年Kemp1)によってはじめて報告された蝸牛起源の音響現象であり,その発生には外有毛細胞が密接に関与していると考えられている、このため本反応を利用すれば,現在臨床的に有用な検査法のない内耳機能,特に外有毛細胞機能を他覚的に測定できる可能性がある。そこで内耳機能の他覚的検査法としてEOEがどの程度臨床的に有用かということに関してこれまでに多くの研究がなされてきた。
しかし現在のところ口常的な臨床検査としては,乳幼児の聴力スクリーニングへ応用できる可能性が見出されている2)以外,その有用性はいまだ確立されてはいない。その大きな理由としてはEOEの検出閾値や潜時,持続時間,周波数などの分析の際の指標となり得ると思われる各パラメータに比較的たきな個体差があるため評価がむずかしいということの他に,内耳性難聴耳では一般的に軽度難聴耳からしかEOEが記録できず,中等度や高度難聴がある場合は情報が得られないことがあげられる。
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