文献詳細
原著
術中モニターAuditory Brainstem Response (ABR)で興味深い所見が得られた脳幹血管腫の1症例
著者: 横山正人1 喜多村健1 菅澤正1 室伏利久2 佐々木富男3 斎藤勇3
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科 2都立府中病院耳鼻咽喉科 3東京大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.51 - P.55
文献概要
誘発電位は中枢神経系の機能診断をする上で重要な検査法となっている。とりわけ聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response;ABR)は聴神経腫瘍を始めとする小脳橋角部腫瘍の手術中に,脳幹部の機能状態を知るためのモニターとしても定着しつつある1〜4)。
しかし,脳幹そのものの病変に対しては,脳幹部の機能的重要性から外科的治療が行われることは少なく,保存的治療が好まれる傾向にある5,6)。そのため脳幹内部への直達手術の際の術中ABRモニタリングの報告例は少なく,ましてや脳幹部海綿状血管腫では直達手術例の報告自体がわずか数例5,6)であるため,その術前・術中・術後にわたるABRモニタリングとなると稀有である。
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