文献詳細
原著
左反回神経麻痺を生じた右陳旧性肺結核症例
著者: 石井恵理1 熊川孝二1 武藤奈緒子1 宮川晃一1 中田紘一郎2
所属機関: 1虎の門病院耳鼻咽喉科 2虎の門病院呼吸器内科
ページ範囲:P.57 - P.61
文献概要
陳旧性肺結核症例に生ずる反回神経麻痺の報告について検討すると,麻痺側はそのほとんどが左側であり,原発巣治癒後10数年の経過を経て麻痺が発症する例が多いことに気ずく。また,その原因としてリンパ節の腫脹による神経の圧迫や肺病変の治癒過程に伴う神経の牽引のいずれかであると考えられてきた。しかし,肺病変と反対側の反回神経麻痺を伴う症例もあり,この場合の麻痺発症の機序については明快な説明はなされていなかった。
今回,我々は主たる肺病変は右側にありながら,左反回神経麻痺を生じた陳旧性肺結核の一症例を経験した。その機序について興味深いものがあり,考察を加えて報告する。
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