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症例特集 頭頸部腫瘍 I.頭部(聴器)
Neurofibromatosisタイプ1とタイプ2の分類からみた両側性聴神経腫瘍
著者: 喜多村健1 設楽信行2
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科 2東京大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.813 - P.816
文献購入ページに移動Neurofibromatosisは,聴神経腫瘍をはじめとした頭頸部に出現する腫瘍の合併から耳鼻咽喉科領域においても重要な疾患のひとつである。また,この疾患は単一疾患とするには多くの臨床的ならびに遺伝学的な異質性が存在することが知られている。すなわち,Neurofibromatosisは多くのタイプに分類されるが,最近の欧米の報告では古典的ならびに普遍的なタイプであるレックリングハウゼン病のNeurofibromatosisのタイプ1(以下,NF1),両側性聴神経腫瘍を主徴とするNeurofibro—matosisのタイプ2(以下,NF2)の2種は広く認められたものとなっている1)。また,興味深い点は,NF1は染色体17番,NF2は染色体22番上の遺伝子欠失と関連づけられ,遣伝学的にも全く異なった疾患の可能性が示唆されている点である2〜5)。ところが,両側性聴神経腫瘍の症例の中には,NF1の特徴とされている臨床症状を呈する例がみられ,NF1とNF2の分類に属さない症例あるいはNF1とNF2の重複した症例の存在の可能性が考えられている。今回の研究報告では30例の両側性聴神経腫瘍を対象として,これらの症例の臨床症状を検討してNF1とNF2のいずれに分類されるかを考案し,わが国の両側性聴神経腫瘍症例とNF1とNF2の分類について検討する。
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