文献詳細
症例特集 頭頸部腫瘍
V.唾液腺
同一耳下腺内に組織型の異なる2種の良性腫瘍が存在した1例
著者: 渋沢三伸1 坂本克也1 真栄田宗慶1 三宅一範1 寺田寿美子1
所属機関: 1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.903 - P.907
文献概要
良性多形腺腫(pleomorphic adenoma)とワルチン腫瘍(Warthin's tumor, papillary cystadenoma lymphomatosum)は,前者は耳下腺に発生する腫瘍のうち約60%を,後者は約10%を占め,それぞれ単独では比較的よく遭遇する腫瘍である。しかし両者が同一耳下腺に同時に存在したという報告は意外に少なく,著者らが渉猟しえた範囲1〜13)では本症例が13例目の報告であり,国内においては最初の報告である。本症例ではそれぞれの腫瘍が分離して2つの腫瘍塊を形成しており,耳下腺浅葉切除術により顔面神経を障害することなく両腫瘍ともに摘出できた。
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