文献詳細
症例特集 頭頸部腫瘍
VI.頸部
頸部腫瘤が唯一の症状であった急性骨髄性白血病と悪性リンパ腫の同時合併症例
著者: 田中寿一1 犬山征夫2 藤井正人1 高岡哲郎1 細田兵之助1 川浦光弘1 田路正夫1 田中一仁1 大熊敦子1 川崎和子1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2北海道大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.947 - P.951
文献概要
悪性リンパ腫(Malignant lymphoma以下,ML)に対して化学療法や放射線療法を施行した後に急性骨髄性白血病(Acute myelocytic leukemia以下,AML)が発症してくることはそれ程稀ではないが,MLとAMLが同時に発症することは,後に述べるごとく極めて稀である。しかも,これまでの報告例では,診断が得られる前に発熱,倦怠感,全身リンパ節腫脹等の,MLやAMLの存在を示唆する症状がすでに発現しているのであるが,今回我々は,頸部リンパ節の腫脹が唯一の症状であり,そのために耳鼻咽喉科を受診し,そこでMLとAMLの合併と診断された症例を経験した。症例そのものが非常に稀であることに加え,耳鼻咽喉科だけでの診察からこうした症例が発見されたことも大変珍しいと思われたので,ここに報告する。
掲載誌情報