文献詳細
症例特集 頭頸部腫瘍
VII.甲状腺
甲状腺の偶発乳頭状腺癌—頸部リンパ節腫大の取り扱い方
著者: 山田弘之1 坂倉康夫1 金春順1 高橋志光1
所属機関: 1三重大学医学部耳鼻咽鼻科学教室
ページ範囲:P.957 - P.960
文献概要
最近UICCのTNM分類において甲状腺癌の分類に変更があり,腺内の直径1cm以下の癌をT1とするなどその大きさを重要視する方向にある。これは甲状腺に早期癌の概念がない現在,できるだけ癌そのものが小さいうちに早期発見・早期治療をせんとする傾向にあることに他ならない。
直径1cm以下のいわゆるT1例は以前より小型癌とか微小癌と呼ばれ,触診のみでは発見することさえ難しく,しばしば頸部の転移リンパ節を認めた後に,その原発巣検索の際に初めて発見されることが多い。頸部リンパ節の転移巣が先に発見された甲状腺癌はoccult cancerと呼ばれることが多いが1),リンパ節生検材料から予期せぬ甲状腺癌が発見された場合はこれを特に偶発癌(inci—dental cancer)と呼ぶことがある1)。
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