文献詳細
症例特集 頭頸部腫瘍
VII.甲状腺
甲状腺分化癌の131I治療法に関する臨床的検討
著者: 山田弘之1 坂倉康夫1 中川毅2 豊田俊2
所属機関: 1三重大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2三重大学医学部放射線科
ページ範囲:P.961 - P.964
文献概要
甲状腺分化癌の増殖は甲状腺刺激ホルモン(TSH)に依存性があると考えられ,病巣はヨードを摂取する性格を有し,場合により甲状腺ホルモン産生さえも行うとされている。一方,甲状腺分化癌はその増殖は遅いものの,治療は外科的治療が主体となり,化学療法や放射線外照射療法は適応外とさえ考えられている。しかし外科的治療のみでは根治性が得られない症例があることも確かである。そこでこのような根治不能もしくは再発した甲状腺分化癌に対し,その生物学的特性を生かして,1946年以後131I治療が諸施設において行われるようになった。131I治療は他臓器癌には見られない甲状腺癌に特異な治療法であり,かつ治療効果が高く評価されるものである。
われわれの施設でも,放射線科において131I治療が行われており,1980年からは耳鼻咽喉科において外科的治療がなされた根治不能例,または再発例に対し同治療が選択され,症例数も11例を数えるに至った。今回この11例について検討を行ったので,若干の文献的考察を加え報告する。
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