原著
閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における頭部X線写真上の顔面頭蓋骨計測値の検討
著者:
朝倉光司
,
中野勇治
,
新谷朋子
,
秋田信人
,
松田史明
,
形浦昭克
ページ範囲:P.997 - P.1001
はじめに
睡眠時無呼吸症候群は,無呼吸の起こり方から中枢型,混合型および閉塞型の3型に分類される。そのうち後2者は,睡眠時の上気道呼吸補助筋の筋緊張の低下に加えて,上気道の解剖学的狭窄が大きな要因であると考えられている。すなわち,小児の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstruc—tive sleep apnea syndrome, OSAS)の多くがアデノイドや口蓋扁桃肥大を伴い,それらの手術的摘出によりOSASの症状が改善することは古くより知られていた1,2)。
成人症例の場合には,従来気管切開術が唯一有効な手術法であったが,1981年にFujita博士によって,軟口蓋咽頭形成術(Uvulopalatopharyngo—plasty, UPPP)が有効なことが報告されて以来,小児と同様に上気道の解剖学的狭窄がその原因の一つとして注目されるようになった3)。一方,「いびき」やOSASは,人間に特有な疾患であり,これには進化に伴った顔面頭蓋骨の形態学的な変化が関係していると考えられる。そこで今回,OSASを含めた「いびき」患者を対象にして頭部X線写真上の特徴を検索した。