文献詳細
原著
外傷性両側性顔面神経麻痺の1例
著者: 中野俊久1 磯野光夫1 堀重昭1 川内秀之2
所属機関: 1大分医科大学脳神経外科 2大分医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.1169 - P.1173
文献概要
両側性顔面神経麻痺は,糖尿病,リウマチなどの膠原病,あるいはギランーバレ症候群,サルコイドーシスなどの全身性疾患の部分的な症状として発現することが多いが,頻度は末梢性顔面神経麻痺の5%以下と低い10)。外傷に起因するものは,さらにまれである。
われわれは,頭部外傷後,両側性顔面神経麻痺をきたした成人男子の1例を経験したが,受傷直後には意識障害や顔面の腫脹を伴い,さらには顔面神経麻痺が両側性であるために,顔面の運動障害が見落とされ易く,診断や治療が遅れることが考えられたので,その特徴や問題点について,文献的考察を加えて報告する。
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