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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科62巻6号

1990年06月発行

トピックス 人工中耳・人工内耳

22チャンネル人工内耳患者の音声・言語聴取の実際

著者: 舩坂宗太郎1 本多清志2 初鹿信一1 湯川久美子1 城間将江1

所属機関: 1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室 2金沢工業大学電子工学科

ページ範囲:P.483 - P.488

文献概要

はじめに
 人工内耳は,蝸牛の機能すなわち音の分析とそれに基づいた刺激電流の発生を代行するもので,音波を振動板の振動に変えてアブミ骨に伝える人工中耳とは全く別の人工臓器である。世界で10種類以上の人工内耳が臨床実用あるいは試用されているが,どのように音を分析し,どのように刺激電流を発生するかは,それぞれの人工内耳で異なっている4)。しかし大勢として,音声情報を複数の電極(multichannel)によりtemporal-spatialpatternで送り込むのがよいとのコンセンサスが得られつつある。また,人工臓器であるからには,埋め込のあと長期にわたって副損傷のないことが当然要求される。コクレア社の22チャンネル人工内耳が世界各国で急速に普及しているのは,このような条件を具えているのに他ならない。
 しかしながら,コクレア社の22チャンネル人工内耳といえども,音声情報処理の精密さは蝸牛には及ぼない。これまで東京医大で手術を受けたすべての聾患者が日常的使用者(regular user)となり,会話聴取がほぼ可能となってはいるが,蝸牛機能が完全に代行されているおけではない。具体的には聴取困難な状況も存在する。がともかくも,この人工内耳は聾の医学的治療が可能となったという点で画期的な医療技術である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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