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原著
60歳以上の鼓室形成術症例の受診動態と手術成績
著者: 櫻井尚夫1 加我君孝1 上房啓祐1
所属機関: 1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.665 - P.668
文献購入ページに移動はじめに
高齢者の鼓室形成術に対しては,1970年代には技術的レベルを加味した鼓室形成術の禁忌のうち,無条件禁忌の項目の1つにあげられている1)。しかし平均余命の延長や老人保健制度の整備などの環境要因の他に老人の麻酔や全身管理などの医療の進歩などで,高齢者の鼓室形成術の適応は拡大されつつある。厚生省が発表した昭和61年度簡易生命表によると,平均余命は60歳で男性19.7年,女性23.6年,65歳で男性15.9年,女性19.3年となっている2)。同時に官公庁や企業の退職年齢は60歳前後へと延長している。このようなライフサイクルの変化を迎え,今後の高齢化社会における鼓室形成術の適応を考えるために,われわれが行った60歳以上の鼓室形成術症例について,その受診動態・術前術後の問題および手術成績を検討したので報告する。
高齢者の鼓室形成術に対しては,1970年代には技術的レベルを加味した鼓室形成術の禁忌のうち,無条件禁忌の項目の1つにあげられている1)。しかし平均余命の延長や老人保健制度の整備などの環境要因の他に老人の麻酔や全身管理などの医療の進歩などで,高齢者の鼓室形成術の適応は拡大されつつある。厚生省が発表した昭和61年度簡易生命表によると,平均余命は60歳で男性19.7年,女性23.6年,65歳で男性15.9年,女性19.3年となっている2)。同時に官公庁や企業の退職年齢は60歳前後へと延長している。このようなライフサイクルの変化を迎え,今後の高齢化社会における鼓室形成術の適応を考えるために,われわれが行った60歳以上の鼓室形成術症例について,その受診動態・術前術後の問題および手術成績を検討したので報告する。
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