文献詳細
文献概要
原著
鼓膜穿孔を伴わない巨大真珠腫の1例
著者: 池田元久1 武藤二郎2 平敷敦子3
所属機関: 1草加市立病院耳鼻咽喉科 2埼玉医科大学耳鼻咽喉科 3埼玉医科大学放射線科
ページ範囲:P.773 - P.778
文献購入ページに移動難聴や耳鳴などの蝸牛症状を伴う,めまい・平衡障害で,さらに,顔面神経麻痺や小脳症状などを伴う症例に遭遇すると,私達はまず,小脳橋角部腫瘍,特に,聴神経腫瘍を疑う。可能性は少ないが,真珠腫の巨大なものの存在も思い浮かべるものの,中耳炎の既往もなく,鼓膜にも穿孔も癒着も存在しない場合は,これも否定しがちである。
今回,私達は上記のような症例を経験した。本症例では,シューラー法やCT scanで,大きな側頭骨部腫瘤の存在を疑わせる陰影を認めた。しかし,これだけでは,腫瘤と,後頭蓋窩,中頭蓋窩の脳組織との連続性を否定しきれなかったので,Magnetic Resonance Imaging (以下,MRI),Digital Subtraction Angiography (以下,DSA)を行い,脳組織との連続性は否定的との画像診断を得た。この診断を根拠に,経乳突部手術で摘出された腫瘤は,真珠腫であった。
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