咽喉頭異常感患者における下垂体・卵巣内分泌系の検討
著者:
山田弘之
,
高橋志光
,
野々山勉
,
湯田厚司
,
岡田英作
,
西井さつき
,
坂倉康夫
,
矢野原邦生
,
久保将彦
,
村井須美子
ページ範囲:P.39 - P.42
緒言
咽喉頭異常感を訴える耳鼻咽喉科受診患者は近年増加傾向にあるが,一方で患者の訴えを受け止める耳鼻咽喉科医の対応は十分に系統化されているとは言えない。われわれ医師の側から見て,咽喉頭異常感は必ずしも器質的疾患がその基礎にあるとは限らず,対応そのものが難しいことは確かである。われわれはまず器質的疾患の検索をすべきであり,器質的疾患の存在が完全に否定された場合は更に内分泌系の問題や精神神経的な問題について検討すべきであろう。しかし,器質的疾患の検索方法さえも確立されていない現在,内分泌系や精神神経的な問題についての検討は更に種々雑多に行われていると言っても過言ではない。
受診患者に女性例,とくに40〜50歳代のいわゆる更年期女性例が多いことから,更年期障害との関係を議論した報告は多い。しかし,実際に咽喉頭異常感が更年期障害の一症状であるのか,もしくは密接な関係があるのかを証明し得た報告,とくに内分泌動態の面から証明し得た報告は少ない。三宅1)はこの点に取り組み検討した結果,咽喉頭異常を訴える患者の内分泌動態は更年期障害患者のそれとはむしろ逆であることから,更年期障害との関係を否定すべきであると述べている。