文献詳細
原著
翼口蓋窩の画像診断
著者: 飯沼壽孝1 市村恵一1 山根雅昭1 池田利昭1 加瀬康弘1 栗山純一1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.19 - P.22
文献概要
翼口蓋窩は前壁(上顎骨体後縁,口蓋骨眼窩突起),後壁(翼状突起),内側壁(口蓋骨鉛直板),上壁(蝶形骨体)を有する。内方は蝶口蓋孔で鼻腔に,前方は下眼窩裂で眼窩に,後方は翼突管で中頭蓋窩底,正円孔で中頭蓋窩に,下方は大口蓋管により口腔に交通する。翼口蓋窩の外側開口部は翼上顎裂をなし,側頭下窩に続く。翼口蓋窩の大きさは上下径21.3mm,前後径7.6mm,左右径11.3mmである1)。これらの局所解剖から翼口蓋窩はその近傍構造に発生する疾病の侵入を受けやすく,また疾病の通過路としても重要である2)。
翼口蓋窩の画像診断はX線CTにてほぼ確定するものであるが,従来の普通X線撮影法や最近のMRIによっても診断が可能であるので,以下に呈示する症例による具体的画像に引続き,現時点での問題点を若干の文献と自験例による知見を基にまとめてみたい。撮影機器と条件の詳細は省略する。
掲載誌情報