文献詳細
原著
外傷性前頭・篩骨部位嚢胞について
著者: 飯沼壽孝1 小山悦子2 沖田渉1 田中利善1 石尾健一郎1 吉岡克己1
所属機関: 1東京大学医学部分院耳鼻咽喉科 2東京都職員共済組合シテイ・ホール診療所耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.753 - P.757
文献概要
外傷性前頭・篩骨部位嚢胞(あるいは広義の前頭洞嚢胞,詳しくは文献1)参照)には直接性(該当する部位の外傷により発生)と,間接性(他の部位の外傷から間接的に発生)の2者がある2)。前頭洞が嚢胞化する機序は全て鼻前頭管の閉塞によるが前頭洞壁自体の外傷によれば直接性であり,従来からの外傷性前頭洞嚢胞と題する報告の大多数はこの機序による症例の報告であった。しかし前頭洞底部および鼻前頭管の周囲には篩骨蜂巣(前頭胞,前頭中隔蜂巣,側窩すなわち眼窩上含気腔)が存在し,これらの外傷による炎症化または嚢胞化によって前頭洞底部および鼻前頭管に閉塞が生じて,間接的な機序による前頭洞の嚢胞化が発生する。われわれは眼窩内壁骨折の後におのおの23,14年後に発症した前頭・篩骨部位嚢胞を経験したので発表し,併せて外傷性前頭・篩骨部位嚢胞の文献学的考察を行った。
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