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原著
Werner症候群に合併した甲状腺癌—老化と癌化について
著者: 高橋光明1 林達哉1 大島収1 村岡俊二2
所属機関: 1旭川医科大学耳鼻咽喉科学教室 2旭川医科大学付属病院病理部
ページ範囲:P.781 - P.783
文献購入ページに移動老化と癌化は古くて新しい問題である。Werner症候群は若年期より白髪,白内障の老人様症状がみられる遺伝的背景を持つ疾患である1)。思春期の急激な身長増加を欠いた均整のとれた発育障害を特徴とし,早期老化症候群の代表的な症候群としてヒトの老化モデルとして注目されてきた2)。その約10%に悪性腫瘍を合併することが知られ,癌好発遺伝疾患の1つに数えられている3)。われわれは甲状腺癌を合併したWerner症候群の1症例を経験した。その病理診断は腺内の多発性濾胞腺腫で,その内の2個の腫瘍は腺腫内に乳頭癌がみられる“carcinoma in adenoma”であった。老化と癌化,癌の組織発生を考える上で興味がある症例と考え,検討を加えたので報告する。
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