文献詳細
原著
鼻・副鼻腔パピローマのフローサイトメトリーによる核DNA量の検討
著者: 寺山善博1 太田豊1 長舩宏隆1 小田恂1 伊藤金次2
所属機関: 1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2東邦大学第二病理学教室
ページ範囲:P.785 - P.790
文献概要
1965年,フローサイトメトリー(flow cytometry,以後,FCMと略)の原型ともいうべきspectro-photometerがKamentskyら1)により完成して以来,幾多の変遷を経て現在のFCMへと発展をとげてきた。近年,本邦においてもこのFCMにより,細胞生物学的研究は急速に新たな発展を遂げつつある。特に悪性腫瘍の細胞周期,胞細動態の研究が進められ,腫瘍細細の悪性度や再発性,予後判定などの点において一つの重要な検査となる可能性がある。
摘出標本のパラフィン包埋ブロックを用いた核DNA量測定が,1983年Hedley2)により報告されたが,未だDNA測定の方法論は確立したものとはなっていない3,4)。しかしHedley2)の報告以来,retrospectiveな研究が可能となり,腫瘍細胞,特に悪性腫瘍の核DNA量の測定による臨床的研究が多施設で盛んに行われるようになってきた5〜8)。
掲載誌情報