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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻11号

1991年11月発行

特集 外来診療マニュアル—私はこうしている

II.外来治療の実際—私の処方

3.鼓膜炎

著者: 飯野ゆき子1

所属機関: 1国立病院医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.130 - P.132

文献概要

 概説
 鼓膜炎は,急性中耳炎の際に見られる急性水疱性鼓膜炎と,鼓膜にびらんや肉芽が生じる慢性鼓膜炎に大きく分類できる.前者は疼痛が強く,また中耳に貯留液を認めることが多い.水疱は鼓膜のいずれの箇所にも生じ得るが後上象限であることが多い.以前から水疱性鼓膜炎は,インフルエンザウイルスやマイコプラズマによる中耳炎の一つの鼓膜変化との指摘がなされているが,いまだ確立したものではない、しかしこの水疱性鼓膜炎に感音難聴を伴うことがあるため,難聴の訴えが強い際は,精密聴力検査が必要である.治療は一般の急性中耳炎に準ずる.
 慢性鼓膜炎は耳漏,耳閉感を主訴とすることが多い.難聴はあってもごく軽度である.鼓膜の表面に,一カ所から数カ所のびらんや肉芽が生じ,膿性の耳漏が鼓膜表面や外耳道底にみられる.以前から肉芽性鼓膜炎との名称で知られているが,肉芽性変化をともなわずびらんのみのこともあるため,近年は単に慢性鼓膜炎と呼ばれている.原因不明の一次性のものと,中耳腔の病変や鼓膜切開,チューブ留置によると考えられる二次性のものがある.二次性の鼓膜炎の治療では,原因となる因子の除去が必要である.一次性の慢性鼓膜炎は,難治性のものもあるが,ほとんどの場合,外来での保存的処置でコントロール可能である.鼓膜形成術などの外科的処置は必要ない.以下一次性慢性鼓膜炎に対する保存的療法に関して述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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