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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻11号

1991年11月発行

特集 外来診療マニュアル—私はこうしている

II.外来治療の実際—私の処方

8.外傷性鼓膜裂傷

著者: 湯浅涼1

所属機関: 1東北労災病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.146 - P.148

文献概要

 概説
 径8mm×10mm,厚さ0.1mmの鼓膜は外耳孔の奥3.5cmに位置し,外傷から保護されている.しかし,時に,平手打ち,スポーツ競技中の事故などによる介達性外力,耳掻きなどによる直達性の外傷,鼓膜切開,通気療法,耳処置など医原性の外力等により,外傷性鼓膜裂傷が生じる.
 一般には,これらの外傷性鼓膜裂傷は感染を予防すれば自然に閉鎖し治癒する.従って,外傷性鼓膜裂傷の治療の原則は顕微鏡下の正確な観察・記録,感染予防,定期的追跡観察であり,受傷間もない時期にパッチ,あるいは鼓膜形成術などを行うべきではない.初診時にオージオメトリーは必ず行い内耳に対する障害の有無を確かめることが必要である.また証拠の確保のためチンパノメトリー,出来れば鼓膜撮影を行い,証拠提出など後に起こりうる法的要請にも対処する心構えが必要である.二次感染,内耳傷害などがなければ1〜2週間に1回程度の定期検診を行い穿孔の大きさなどをチェック,記録する.1カ月経過しても穿孔が閉鎖傾向になければ,鼓膜形成術の可能性を説明し,さらに2カ月経過観察を行う.受傷後3ヵ月間閉鎖傾向が見られなければ鼓膜形成術を考慮する.まず外来での鼓膜形成術(接着法,湯浅1989)を試みる.以下,本法について詳細に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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