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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻12号

1991年11月発行

鏡下咡語

擬声語漫想

著者: 太田文彦1

所属機関: 1近畿大学医学部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.896 - P.897

文献概要

 標準耳鳴検査法1984のなかに,擬声語による耳鳴の表現の検査がある。平凡社の大百科事典によれば,擬声語とは「物体の響く音,動物の鳴く音などを模した語。あるいは擬音語,写声語ともいう」とある。もともと物音や音声を完全に模倣することは出来ないし,またそれらは各人に一様に聞こえるものでもない。さらにその音の象徴する概念も各国民によって異なるので,用いられる擬声語も随分と違うものになっている。たとえば「コケコッコウ」と“cockadoodledoo”とを比べれば,われわれの耳には前者のほうがずっとそれらしく聞こえる。
 日本人は音を擬声語で表現しようとする習性があるのか,あるいは日本語が擬声的起源の濃い言語であるのかは知らないが,日本語には擬声語が背から随分と多い。これは一つには単音節ごとに対応する文字があるという日本語の特性にもよるのだろうが,日本人が単刀直入にズバッと表現することを好むからかも知れない。風刺のきいた落首が庶民の間にもてはやされたことを考えれば,いろんな音を自分の感じたままにずばりと表現することが日本の庶民には歓迎されたのかも知れない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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