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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻13号

1991年12月発行

文献概要

原著

大胸筋筋皮弁およびD-P皮弁による再建例の上肢機能の検討—新しく考案した独自の判定法を用いて

著者: 木村正1 岸本誠司2

所属機関: 1京都大学形成外科学教室 2高知医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.915 - P.919

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 はじめに
 頭頸部悪性腫瘍術後再建の方法としてD-P皮弁や前額皮弁など従来の皮弁のほか,各種筋皮弁さらに遊離皮弁などを用いる方法がよく知られている。それぞれ特長があり再建部位により使い分けられている。たとえばD-P皮弁では比較的薄い皮弁が作製できるため頸部食道再建時にロールとして管腔を形成しやすくBakamjian1)の方法が有名であるが,二期的再建となり治療期間が長引く。これに対し筋皮弁では厚いため管腔は形成しにくいが,血行がaxial patternで確実なため一期的再建が可能である。特に大胸筋筋皮弁による方法は手技が比較的簡単で頭頸部の再建部位に近く,煩わしい体位変換も不用で恵皮部も縫縮できる。組織欠損の大きい舌・口腔底癌などの再建には最適な方法と思われる。われわれの高知医大耳鼻咽喉科における30例を越える大胸筋筋皮弁による再建の経験でもそれらの利点を再認識した。しかしながらこれら皮弁による再建例で皮弁採取後の患側上肢機能を可動範囲や患者の満足度を含めて評価し検討した報告はない。大胸筋切除後の上肢の機能低下度などについてもあまり検討されていない。このため今回新たにこれら皮弁採取後の患側上肢機能を客観的に評価するために独自の判定法を考案し,これを用いて大胸筋筋皮弁使用症例とD-P皮弁使用症例とを比較検討してみたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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