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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻13号

1991年12月発行

鏡下咡語

耳鼻咽喉科と甲状腺手術

著者: 北村溥之1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.966 - P.967

文献概要

 I.本院耳鼻咽喉科での甲状腺手術
 最近耳鼻咽喉科で手術される甲状腺の症例が増えてきた。天理よろづ相談所病院耳鼻咽喉科における開院以来の甲状腺腫瘍の年度別患者数は表1のごとくで,年々増加傾向にあるが,昭和53年(1978年)に急増し,さらに,昭和57年(1982年)より一段と増えている。昭和61年より良性腫瘍と悪性腫瘍をあわせると年間100例を越すようになった。また表2にみるように,バセドウ病の手術患者も昭和53年より徐々に増えている。当院では,当初は外科(腹部,一般外科)でも甲状腺手術が行われていたが,最近では,もっぱら耳鼻咽喉科で行われるようになった。長年かかって,耳鼻科で行われた甲状腺手術が合併症も少なく安全に行われ,頸部外科に対する耳鼻咽喉科医の技術が外科医,内科医に認められた結果であった。甲状腺の手術の際に関連の深い喉頭機能の観察手段を持っていることも重要である。外科で行われたバセドウ病手術で両側反回神経麻痺を来し,気管切開を行ったことがきっかけで,内科から耳鼻科に患者が紹介されるようになった。合併症が少ないため内科医が安心して紹介してくれるようになったのである。奈良県の耳鼻咽喉科口腔外科の悪性腫瘍患者登録においても,甲状腺癌が喉頭癌,舌癌などを抑えて第1位を占めるようになった。甲状腺専門の外科医のいる病院でなければ,頭頸部の手術に詳しい耳鼻咽喉科が行うべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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