文献詳細
原著
鼻咽腔進展を示した巨大下垂体腺腫の1例
著者: 大橋伸也1 鄭正舟1 飯塚尚久1 山口秀樹1 加藤朗夫1 藤田博之1 今給黎守慶1 舩坂宗太郎1
所属機関: 1東京医科大学耳鼻咽喉科教室
ページ範囲:P.135 - P.138
文献概要
下垂体腺腫は下垂体前葉から発生する腫瘍で,組織学的に色素嫌性腺腫,好酸性腺腫,好塩基腺腫に大別される。近年,免疫組織学的手技の進歩により内分泌学的にホルモン産生の有無と,その種類により表1のように分類されることが多くなった1)。また,占拠部位により,従来からトルコ鞍内に限局し,径1cm以下の場合をmicroadenoma,トルコ鞍外に大きく拡大進展している場合をextrasellar cxtensionとも分類されてきた。
extrasellar extensionは,その進展方向により表2のように分類され,その頻度は頭蓋内にとどまる進展がほとんどで,下方,ことに鼻咽腔にまで達するものは約2%と極めて稀である。今回私達は,巨大に鼻咽頭進展を示した症例を経験したのでここに報告する。
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