文献詳細
原著
頭頸部領域における悪性黒色腫—当科における過去16年間の臨床的検討
著者: 山田弘之1 鈴村栄久1 山際幹和1 坂倉康夫1
所属機関: 1三重大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.241 - P.245
文献概要
悪性黒色腫は皮膚または粘膜内のメラノサイトから発生する予後不良の疾患であり,とくに頭頸部領域に発生する悪性黒色腫は粘膜原発のものがほとんどであることから,他領域の皮膚原発のものに比較して一層その予後は悲観的である。
本腫瘍は頭頸部領域のなかでもとくに鼻腔および口腔に好発するため,初診時には比較的局所に限局した初期のものでもその解剖学的理由ゆえに広範切除が不可能な症例も多く,化学療法,免疫療法あるいは低pheynylalanine-tyrosine食などに依存せざるをえない症例も多い。頭頸部上皮性腫瘍の最近の治療成績の向上に比較しても,悪性黒色腫の治療成績は一向に改善せず,われわれ頭頸部外科医にとって相変わらず悩みの種である。
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