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原著
同時期耳下腺外ワルチン腫瘍について
著者: 古川仭1 山本環1 木村恭之1 大尾嘉宏巳1 長山郁生1
所属機関: 1金沢大学医学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.297 - P.301
文献購入ページに移動ワルチン腫瘍(リンパ腺腫)は全耳下腺腫瘍の6〜10%に見られる発育緩慢でしばしば無症状に経過する良性腫瘍であるが,時に両側発生や同側の多中心性発生をみる特異な腫瘍である1,2)。多中心性腫瘍は同時期発生のこともあるが,時期を異に発生することもある。したがって外科的切除後の同側発生腫瘍では,異時性多中心腫瘍であるのか再発性腫瘍であるのかは区別がむつかしくなるが,ワルチン腫瘍は耳下腺内のみでなく,耳下腺辺縁リンパ節や頸部リンパ節からの発生をみることもあり3,4),この場合はその判断は容易である。今回私達は,同側耳下腺内の複数腫瘍と辺縁リンパ節様腫瘍が組織学的に同一のワルチン腫瘍であった,いわゆる同時期耳下腺外ワルチン腫瘍を経験したのでその症例を紹介し,文献的考察を加えて報告する。
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