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原著
嗄声を主訴としたWerner症候群の2例
著者: 太田豊1 高橋博文1 堀越秀典1 山本昌彦1 小田恂1 権丙浩2 廣瀬肇3
所属機関: 1東邦大学医学部耳鼻咽喉科 2東邦大学医学部皮膚科 3東京大学医学部音声言語医学研究施設
ページ範囲:P.469 - P.473
文献購入ページに移動1904年にキール大学の眼科医,Werner1)は,早期老化現象を主徴とする,強皮症様皮膚変化などを合併した若年性白内障の症例を発表した。のちに1934年になって,Oppenheimerら2)がこれらの症候に骨粗鬆症,高血糖症,生殖器機能不全などの症候を加えWerner症候群の名を冠した報告を行った。さらに1945年にはThannhauser3)により,また,1953年にはIrwinら4)によってその主要徴候が詳細にまとめられた。このなかには高調嗄声(weak and high-pitched voice)が含まれているが,これは全身疾患であるWerner症候群の一部分症にすぎず,他科領域の症状が初発症状となることが多いため,患者が最初に耳鼻咽喉科を受診することは稀であると考えられる。
Werner症候群は本邦でもすでに200例あまりが報告されているが,最近では老化現象解明の手掛かりとして注目されており,DNAレベルでの研究5,6),免疫能からの研究7)などが報告されている。
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