耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻6号

1991年06月発行

原著

落雷による聴器障害11例

著者： 加藤洋子¹ 飯野ゆき子¹ 鳥山稔¹ 新井景子² 馬場道忠³ 田中正美³ 田中博美⁴

所属機関： ¹国立病院医療センター耳鼻咽喉科 ²昭和大学医学部耳鼻咽喉科 ³大宮赤十字病院耳鼻咽喉科 ⁴埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.485 - P.490

文献概要

　はじめに
　落雷事故による障害には，電撃傷（感電して人体におこる障害），爆風で地面にたたきつけられるなどで生ずる頭部外傷，聴器外傷，事故のショックからの心因性影響などが挙げられる。今回われわれは，1990年5月15日埼玉県下で発生した落雷で受傷した11例の聴器外傷を経験した。11例のうち2例はいわゆる電撃傷を伴い，残り9例は電撃傷を伴わず聴器外傷だけであった。貴重な症例と思われるのでここに報告する。