文献詳細
原著
上咽頭へ進展した蝶形骨洞粘液嚢腫の1症例
著者: 山田勝士1 加納有二1 橋本循一1 平田思2 矢島克昭3
所属機関: 1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2広島大学医学部耳鼻咽喉科学教室 3群馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.635 - P.639
文献概要
蝶形骨洞粘液嚢腫は,1889年スエーデンのBerg1)が報告して以来,現在までその報告は200例程度2)である。CTやMRIにより,診断が比較的容易になった現在においても,この嚢腫が蝶形骨洞内に限局している早期に診断がつくことは少ない。嚢腫内の粘液の貯溜量が増加して洞内を充填してくると,嚢腫は周囲の骨壁を圧迫,破壊し,洞外に進展する。前外方や上方への進展が多いため,蝶形骨洞粘液嚢腫の症状は,洞の解剖学的位置により,眼症状や頭痛が圧倒的に多い3,4)。われわれは,蝶形骨洞を充満せずに下方の上咽頭に進展し,鼻閉を唯一の症状とした,蝶形骨洞原発と考えられた粘液嚢腫の1症例を経験したので,報告する。
掲載誌情報