文献詳細
原著
抗体保有率からみたChlamydia Pneumoniae感染と耳鼻咽喉科疾患との関連性
著者: 小川浩司1 橋口一弘1 片桐鎮夫2 熊谷直樹2 和山行正3
所属機関: 1北里研究所病院耳鼻咽喉科 2北里研究所病院内科 3北里大学衛生科学検査研究センター
ページ範囲:P.675 - P.679
文献概要
Chlamydia Pneumoniaeは3番目のクラミジア種として1989年に確認された1)。その名が示すように気道に感染し,肺炎,気管支炎,咽頭炎を起こすことが知られていて2〜4),われわれも痰や扁桃陰窩および中耳貯留液からこの病原体を分離したことを報告した5〜7)。
一般人のC.pneumoniaeに対する抗体保有率は世界的に極めて高く,本邦においても,Kobayashiらや尾内らによれば成人のおよそ50%が抗体を持っている8〜11)。人口密度の高い国での抗体保有率が高いことと集団生活者で感染が流行することから,かぜ症候群や不顕性感染を起こすことが考えられ,また他の病気との関わりの可能性も十分考えられる。とくに上気道は身体の中で最も感染の起こり易い場所であることを考えれば,耳鼻咽喉科疾患との関係は非常に強いものがあるように思われる。
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