icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科63巻9号

1991年09月発行

文献概要

原著

突発性難聴と内耳道血管輪

著者: 小川郁1 神崎仁1 小川茂雄1 土橋信明1 井上泰宏1 山本美奈子1 池田俊也1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.681 - P.686

文献購入ページに移動
 はじめに
 前下小脳動脈が内耳道内に入り込む,いわゆる内耳道血管輪(vascular loop,以下,VLと略)が難聴や耳鳴,めまいなど,蝸牛・前庭神経症状の原因になりうるかどうかについては未だ不明な点も少なくない1,2)。しかし,顔面痙攣や三叉神経痛,舌咽神経痛などの原因の一つとしてncurova-scular cross compression (以下,NVCCと略)が挙げられ3,4),神経と血管とのmicrovascular deco-mpression (以下,MVDと略)を行うことによりこれらの症状が軽快することが報告されるようになってきたことから,蝸牛・前庭神経症状についても同様の病態が考えられている3〜7)。本邦においても,耳鳴・めまいに対してMVDを行い,症状が軽快したとする報告が散見されるようになってきている8〜12)
 一方,高分解能CTを応用したair-CT cister-nography(以下,air-CTと略)が内耳道内に限局する早期聴神経腫瘍の診断法の一つとして一般に行われているが13),air-CTにより聴神経腫瘍が認められない非腫瘍例のなかにVLが認められることがあり,NVCCとの関連についてその臨床的意義が注目されている1,14,15)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?