文献詳細
原著
高いG-CSF活性を示した上顎洞癌の1症例
著者: 藤井正人1 武井泰彦1 大沼田あや子1 神崎仁1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.903 - P.907
文献概要
頭頸部腫瘍のなかで上顎の扁平上皮癌は比較的遠隔転移することの少ない腫瘍とされている1)。しかし,なかには早期に再発や遠隔転移をきたし急激な転帰をたどる症例も見られる。そのような場合に腫瘍細胞の生物学的な悪性度が関係すると考えられ,近年それらに関する報告が多くみられる2)。
一方最近では,多くの癌細胞遺伝子産物が癌細胞の増殖そのものに関与していることがさまざまな研究によって明らかにされてきた3)。つまりある種の癌細胞で癌遺伝子の発現に伴い何らかの増殖因子が分泌されるようになり,またそのリセプターを発現して,癌細胞はその物質を内分泌性増殖因子として増殖している可能性が示唆されている。そしてそれらの増殖因子として上皮成長因子やコロニー刺激因子(Colony Stimulating Factor,CSF)が注目されている。
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