文献詳細
原著
術後にABRの正常化を示した聴神経腫瘍の3症例
著者: 青柳優1 横田雅司1 鈴木利久1 喜連照夫1 金慶訓1 小池古郎1 中井昴2
所属機関: 1山形大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2山形大学医学部脳神経外科教室
ページ範囲:P.185 - P.191
文献概要
近年,ABRやMRIの普及によって聴神経腫瘍の診断は容易になり,聴力障害の軽度なうちに診断される機会が多くなってきており,これに伴い術後聴力保存例や聴力改善例の報告も多くなってきた。一方,聴神経腫瘍の早期診断におけるABRの診断的意義については多くの報告があるが,ABR所見の変動や術後のABR所見の改善についての報告はほとんどない。
われわれは1988年以降,比較的早期の聴神経腫瘍7例に対して脳外科の協力のもとに中頭蓋窩法摘出術を施行してきたが,そのうち5例は術前会話音域聴力レベルが30 dB以内であり,聴力保存を試みた。うち3例において術前と同じ聴力を保存して摘出し得たが,これら3例全例において術後にABRの正常化を認めたので報告し,聴神経腫瘍におけるABR所見の変動について考察する。
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