文献詳細
医療ガイドライン
パーソナルコンピュータを用いた入院患者データベースシステム
著者: 森園徹志1 八木聰明1 山口潤1 青木秀治1 山野辺滋晴1
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.458 - P.462
文献概要
過去の入院患者の病歴を検索する作業は,臨床研究を行う際には必須であり,日常の診療においてもたびたび必要な作業である。病名,治療内容などさまざまな面からの病歴の検索が必要になるが,単純で時間のかかる集計作業をそのつど台帳を繰って行っているのが大方の現状であろう,一方,ここ数年のパーソナルコンピュータの発達は著しく,何年か以前には大型コンピュータを必要としたような作業のうちかなりのものは,パーソナルコンピュータで十分行えるようになってきている,,データの集計に関しても,手軽に使えるデータベースソフトが市販されており,容易にデータの入力,集計,検索などができるようになり,われわれの日常診療でもデータ整理の強力な道具となっている。ところがこのデータベースソフトを入院患者のデータ登録に応用しようとすると幾つかの点で工夫が必要になる。すなわち,①一症例につき複数の疾患,治療を入力可能にし,しかもメモリの使用効率を下げないようにしようとすると処理が複雑になる(単純に処理しようとすると情報の少ない症例のデータには空白の欄ばかりできることになる),②病名を統一したかたちで入力しておかないとうまく検索できない,③その半面コード表をいちいち調べるのは入力に手間と時間がかかりすぎる,④データベースソフトの使用に馴れていないと誤操作により以前に入力したデータを破壊するおそれがある,⑤コンピュータを使うこと自体に抵抗感がある,などである。
これらの問題点を解決してデータベースシステムを作った。すなわち,①④⑤に対してはプログラムを作成し,データベースソフトの操作を知らなくても,画面の指示に従うことにより入力や検索が容易に出来るようにし,②に対しては後述するICD−9を基に当科で作成したコード表に従って入力するようにした。さらに③に対する解決策として病名コードそれぞれに対応して憶えやすい略号を設定して,主な疾患についてはコード表を見なくても略号を人力することにより,それに相当する病名コードを自動的に検索するように工夫した。
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