icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科64巻6号

1992年06月発行

文献概要

鏡下咡語

眼振の魅力と不思議

著者: 徳増厚二1

所属機関: 1北里大学医学部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.464 - P.465

文献購入ページに移動
 眼球の律動的な,持続する往復運動である眼振は,生体の神秘を伺わせる。温度刺激眼振の記載をはじめとする一連の研究でノーベル賞を獲得したR.Barany以後,温度限振や,回転後眼振で,生体の平衡機能を調べる時代がながく続いたが,それを,故福田精先生は,バラニーの呪縛といわれた。眼振は,1方向へ動く風景を眺める時の視運動性限振,頭部を回転した時の回転眼振が,本来の姿であり,迷路の半規管刺激による回転眼振も,動く対象を見るために働いているというのである。複雑な神経機構が完成された,われわれの体で,どこかに異常が起こると,奇妙な現象が観察される。病的な自発眼振,頭位眼振がその部類に入る。多くの奇妙な病的眼振が報告され,その発現機序についても説明がされているものがあるが,説明出来ないものも少なくない。
 自発眼振は,正面遠方視で見られる眼振であり,固視させない状態で出現する。フレンツェル眼鏡をかける,暗所開眼・閉眼・遮眼でENGで記録,赤外線カメラの利用などで,観察される。前庭性眼振の視覚あるいは固視抑制を除外するためである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?