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原著
早期に診断し得た悪性高熱症の1例
著者: 大橋校1 古川政樹1 澤木修二1 澤島政行2
所属機関: 1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2横浜船員保険病院
ページ範囲:P.537 - P.541
文献購入ページに移動悪性高熱症は全身麻酔で発症する恐るべき合併症として知られている。わが国でも年間20例以上は発症している1)といわれているが,以前には麻酔科医師の間に一般的な知識として知られておらず,治療の開始が遅れることなどの理由により致命率の高い疾患であった。最近はこの疾患に関する知識の普及により早期に発見されるようになり,早期治療とともに予防方法および治療薬としてのダントロレンナトリウムが開発され,予後が改善されるようになった。
しかし遭遇する頻度が少ないため,未だ医師の間の知識が乏しく,そのため治療の開始の遅れや発症後の患者の管理において問題が起こる場合がある。耳鼻咽喉科で行われる手術においても,全身麻酔の合併症として発症する可能性があることを思えば,この疾患について正しく認識している必要がある。
われわれは早期に発見し,しかも早期に治療を開始したため良好な経過をたどった悪性高熱症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
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