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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科65巻1号

1993年01月発行

トピックス 環境と耳鼻咽喉科

大気の温・湿度変化と鼻粘膜反応

著者: 今野昭義1 寺田修久2 本杉英昭1 永田博史1

所属機関: 1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2秋田大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.31 - P.36

文献概要

 はじめに
 耳鼻咽喉科領域にはBell麻痺のように寒冷刺激が発症の誘因の一つと考えられる疾患がいくつかある。しかし環境温度,湿度の変化に最も敏感に反応する臓器,器官は鼻粘膜である。ヒトは南極における−88℃からリビアの砂漠における58℃まで,かなり広範な環境温・湿度の変化にさらされる。吸気温・湿度の変化にバッフアーとして対応できるように鼻粘膜には容積血管系と腺が豊富に発達している。しかしヒト鼻粘膜の加温能,加湿能は過換気のような特殊な呼吸においては必ずしも十分ではなく,小児気管支喘息児でしばしばみられる運動誘発喘息の発症機序として,運動時の過換気による下気道粘膜からの熱および水分喪失が気管支平滑筋収縮をおこすという学説がある1,2)。実際に寒冷下での運動は運動誘発気管支収縮を促進し,水泳のような高湿度下での運動では運動誘発喘息がみられることは少ない。またマスク着用は運動誘発喘息の発症を抑えることも知られている3)
 ウイルス性急性鼻炎,急性上気道炎も日本語では“カゼ”,英語では“cold”,独語では“Erkältung”と表現されるように,古くからその発症には温度,湿度などの環境条件の関与が考えられている。本稿では加温・加湿器としての鼻粘膜の効能とその限界,寒冷刺激に対する鼻粘膜反応,さらに“カゼ”と寒冷との関連についてまとめてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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