文献詳細
原著
喉頭癌細胞性免疫能におよぼす放射線照射量の影響
著者: 八尾和雄1 高橋廣臣1 岡本牧人1 稲木勝英1
所属機関: 1北里大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.813 - P.818
文献概要
頭頸部悪性腫瘍の発生や増殖,転移あるいは治療効果には宿主の細胞性免疫能が強く関与するといわれている1)。治療効果は,宿主の免疫能により残存腫瘍細胞を排除することができるまで各治療手段で腫瘍細胞数を減少させられることに依存するといえよう。しかし,いかなる治療手段も,やり過ぎは宿主の免疫能を低下させ2)逆効果となる。治療法による患者侵襲をできるだけ少なくして免疫能をいかに温存,増強させるかが頭頸部悪性腫瘍の治療に重要となる。われわれの治療は常にこの考え方を重視し,特に上顎洞癌の治療法は患者自身の既存の免疫能,ないし治療により賦活したと考えられる免疫能を利用し治療する方法である3〜5)。
今回は放射線治療を第1選択とし,照射野がほぼ一定であり,他の部位より症例数が多い喉頭癌症例で,放射線治療中の全身状態の監視検査の1つである細胞性免疫能に放射線治療がいかに影響を与えているかについて,二重染色法によるフローサイトメトリー法で,リンパ球の各サブセットおよびNK細胞活性の照射量による経時的変化を測定し検討したので報告する。
掲載誌情報